すんなりとした喜び

中学生の時(35~33年前)私は吹奏楽部でテナーサックスを吹いていた。

それ以来、サックスをまともに吹いたのは、子供が幼稚園の時。

親が子供たちを楽しませる親の催し物をやった時(15年前くらい)に少し。

この質の高い素敵な楽器は、中学生の私にとって、とてもとても嬉しかったけれど、それに見合うほど丁寧に扱ってこなかった。

かなり雑にしてきたと思う。

そういう粗暴で高慢な自分が嫌いだった。

それを含め、いろいろ色々、とにかく中学高校大学生の頃の自分が特に嫌いだった。

 

このサックスは、ずっと私の秘かな宝物だった。

吹かなくなってから、元旦那と暮らしていた神奈川の家に所有していた。

先日、それを、売ってみよう!と思い立ち、送ってもらった。

それが昨日届いた。

久しぶりに見たら、思っていた通りサビサビだけど、やっぱりかっちょいい~!

実物を見たとたん、ふと、この楽器欲しい人いないかな?

と考えが変わった。サックスが欲しいけど高くて買えな~い。

とか、部屋に飾りたい。って人が1万円くらいで引き取ってくれないかな?

 

彼女の知り合いならいるかも。彼女に聞いてみよう!と、お客さんに連絡をしてみた。

そしたら、彼女の旦那さんが買ってくれるという。1万円で引き取っていただけだ。

ちょうどすぐ後に彼女はリリの予約していてくれたので、サックスは、すぐにお嫁に行った。

 

どうやら旦那さんは、昔サックスを吹いていたのだけれど、お金に困ったときに売って手放してしまったらしい。あら、そうだったの!とびっくりした。

受け取った彼は、

またサックスが吹けるとは思っていなかったよ~!

と大喜びだったそうである。

 

サックスも、

また吹いてもらえるとは思わなかったよ~!

ひどい持ち主と決別できた!

と喜んでいるだろう。

 

サックスとの再会の時間は3時間くらいだった。

あっさりすんなりと旅立っていった。

いっぱい傷をつけてしまったサックス、ごめんね。可愛がられてね。

あなたはもっと丁寧に扱ってもらうべきなんだ。

そして私は、私にはもったいない素敵な宝物と、要らない過去を手放せた。

めでたしめでたし!